2021年7月6日、浜作の新本店が開店しました。
京料理の雄・浜作は、高級料理はお座敷でいただくものという概念を覆し、料理人の技を目の前で楽しめる「板前割烹」というジャンルを日本に生み出した名店です。昭和2年に森川栄氏が始めたこの店は、目でも舌でも楽しめ、ゲストの好みを汲み取って料理を拵える、その自由闊達な気風により瞬く間に人気となり、昭和〜平成を通じて食通の京都の旦那衆はもちろん、皇族をはじめとする大官貴顕や、川端康成・坪内逍遥・谷崎潤一郎などの文豪が贔屓にし、チャールズ皇太子やダイアナ妃、喜劇王チャップリンなど海外からの賓客にも愛されてきました。
現当主の三代目主人・森川裕之さんは、京の料理界の最高峰でありかつ稀代の数寄者。選び抜かれた旬の食材を使い、鮮やかな包丁捌きで目の前で素早く調理し味付け、最上の状態で出してくれます。
昨年、森川ご主人にこの浜作の本店が、祇園八坂鳥居前から新町通六角に場所を移すということをお伺いし、和塾では開店した暁に、新しいお店の門出をお祝いさせていただく企画を計画。森川ご主人のご好意をいただき、開店の前々日にお伺いできることとなりました。開店前の準備で大変多忙な中、昼餉の4時間、初夏の旬の美味とご主人の技とお話をたっぷりと堪能。現代和食の極みを体感する特別で貴重な機会となりました。
新本店の玄関。元総理大臣の細川護熙さんによる書が掲げられています。
総檜一枚板のカウンターは創業当時からのもの。樹齢300年ですが、檜の神聖な香が漂います。
鱧の骨切りは、通常は身だけ切り皮を残しますが、浜作では皮の半分まで包丁を入れます。
細川護熙さんの好物の胡麻豆腐。細川さんが創られた刷毛目の器がさらに美味を引き立てます。
谷崎潤一郎に、天下第一のハモと謳われた浜作夏の名物「鱧」のお椀
冷涼感あふれる名物の素麺
お食事の後は、店の奥に設けられたサロンへと移動。
川端康成が遺した「古都の味 日本の味 浜作」の書をはじめ、ご主人のセンスとこだわりでセレクトされた家具やインテリアがそこここに。美食や芸術のなど、話の尽きない初夏の一日でありました。